広告は7万円だった。契約は約140万円になっていた
これは作り話ではありません。国民生活センターが2019年11月21日の報道発表に載せた、実際の事例です。同じ発表で、男性の契約金額の最多帯は100万円以上〜300万円未満(589件・約32%)と書かれています。ここでは、何が起きているのかと、すでに契約してしまった人が今日できることを、公的資料だけで整理します。
{toc([("kuni","国は3年半で2回、名指しで注意喚起している"),("baizou","契約額の最多帯は3年半で上がった"), ("naniga","何が起きているのか"),("ima","すでに契約した人が、今日できること"), ("tsuuhou","広告の通報は、誰でもできる"),("modosenai","なぜ「あとで考える」が効かないのか"), ("mada","まだ行っていない人が、その日にやること")])}国は3年半で2回、名指しで注意喚起している
美容医療のトラブル全般ではありません。包茎手術が表題に入った発表が、2回出ています。
国民生活センターの報道発表(包茎手術が対象に入っているもの)
| 発表日 | 表題 | 書かれている中身 |
|---|---|---|
| 2016年6月23日 | 美容医療サービスにみる包茎手術の問題点 | 男性が契約当事者の相談2,131件のうち包茎手術が1,092件(半数以上)/20歳代が646件(約6割) |
| 2019年11月21日 | 包茎手術、薄毛治療など、男性の美容医療トラブルに注意! | 約5年間で2,000件を超える相談/契約当事者は20歳代が約40%で最多 |
出典:独立行政法人国民生活センター 報道発表資料。同じ施術について、公的機関が3年半のあいだに2度、表題に載せて注意を出しています。
契約額の最多帯は、3年半で上がった
2つの発表を並べると、金額の動きが見えます。
契約金額で最も多かった価格帯の変化
| いつの発表か | 最も多かった契約金額の帯 |
|---|---|
| 2016年6月23日 | 50万円超〜100万円以下 |
| 2019年11月21日 | 100万円以上〜300万円未満(589件・約32%) |
出典:同上。2016年の発表には「手術を受ける前に心づもりしていた費用は5万円超〜10万円以下が最も多い」とあります。心づもりと実際の契約額は、最初から1桁ずれていました。
具体的な事例も、金額だけ並べると分かりやすくなります。
広告・最初の説明と、最終的な契約額(国民生活センターの事例)
| 発表 | 最初に見た・聞いた額 | その後 |
|---|---|---|
| 2016年 | 広告表示 7〜10万円 | 総額 約80万円 |
| 2016年 | 医師の説明「手術費用は65万円」 | 追加で 約200万円 |
| 2019年 | 広告表示 7万円 | 実際 約140万円 → 減額の話を経て 約90万円 → 最終 約130万円 |
出典:同上。広告の額と最終額の差は、1桁から2桁に及びます。
2019年の事例には、クリニック側の説明として 「広告の施術だと、手術痕が目立ったり、術後にひどい腫れ等が出るおそれがある」と言われたことが書かれています。広告の金額でできる手術を、広告を出している側が否定する形です。
何が起きているのか
金額が動く場所は、診察室です。国民生活センターは「即日契約・即日施術の事例が多くみられる」「説明なしに追加施術が追加されていることがあります」と書いています。
そして2019年の発表には、事業者に向けた一文があります。
即日施術の必要性が医学上認められない場合には、即日施術を強要することなどの行為は慎まれるべき
公的機関が「その日にやらせるな」と書いている。 つまり、その日に決めさせようとされたこと自体が、おかしいと言ってよい事柄です。断る理由をこちらで用意する必要はありません。
すでに契約した人が、今日できること
相談先は1つではありません。聞きたいことによって、行く先が違います。間違った窓口に行くと「うちでは扱えません」で終わります。
何を相談したいかで、窓口が変わる
| 相談したいこと | 窓口 | できること/できないこと |
|---|---|---|
| 契約・返金・解約 | 消費生活センター(消費者ホットライン 188) | 契約トラブルの相談。事業者とのあっせんを行うことがある。契約したあとでも相談できる |
| 広告の表示がおかしい | 医療機関ネットパトロール(厚生労働省委託事業) | ウェブサイトの表示を通報できる。下の節に書きます |
| 医療の中身(術後の状態など) | 各都道府県の医療安全相談窓口 | 診療内容についての相談 |
| 美容医療一般の疑問 | 日本美容医療協会「オンライン公開相談室」 | 公開の掲示板形式。「施術費用返金のご希望や賠償金の請求のご相談など法律問題に関しましては対応ができかねます」と明記。また「質問に対して必ず回答が得られるわけではありません」 |
出典:消費者庁・厚生労働省・日本美容医療協会の公表内容(2026年9月20日確認)。返金の話は、美容医療の業界団体ではなく消費生活センターです。
消費生活センターに電話する前に、手元に集めるもの
- 契約書・同意書(もらっていなければ、もらっていないことをメモする)
- 見積書・領収書・クレジットや医療ローンの契約書
- 広告で見た金額が分かるもの(サイトの画面を保存しておく)
- 説明を受けた日時、その場にいた人、言われたことのメモ
- 支払った額と、これから支払う予定の額
広告の画面は、先に保存してください。 クリニックのサイトは書き換えられます。「7万円と書いてあった」を証明できるのは、その時の画面だけです。
広告の通報は、誰でもできる
ここはほとんど知られていません。厚生労働省の委託事業として「医療機関ネットパトロール」があります。 医療機関のウェブサイトの表示について、一般の人が通報できる窓口です。
通報先は 医療機関ネットパトロール(iryoukoukoku-patrol.mhlw.go.jp) です。
何が違反になるのかは、医療広告ガイドラインに書かれています。自分が見た広告が当てはまるかどうかは、この表で確かめられます。
医療広告ガイドラインで禁止されていること(令和8年3月30日最終改正)
| 禁止されているもの | 具体的には |
|---|---|
| 費用を強調した広告 | キャンペーン価格・期間限定割引など、医療内容と無関係に費用を強調するもの |
| 比較優良広告 | 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告 |
| 患者の体験談 | 患者その他の者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告 |
| ビフォーアフター写真 | 治療等の内容又は効果について患者等を誤認させるおそれがある治療等の前後の写真等(治療内容・費用・リスク等の詳細な説明がない場合) |
| 誇大広告 | 必ずしも虚偽ではないが、事実を不当に誇張し、人を誤認させるもの |
出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」令和8年3月30日最終改正。
「今日契約すれば割引」は、この表の一番上に当たります。 言われた時点で、その場で決めない理由が1つ増えます。
なぜ「あとで考える」が効かないのか
「クーリング・オフがあるから大丈夫」と思っていると、ここでつまずきます。
特定商取引法の「特定継続的役務提供」になる条件
| 条件 | 内容 | 1日で終わる手術は |
|---|---|---|
| 役務の内容 | 「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療」(主務省令で定める方法によるものに限る) | — |
| 期間 | 1月を超えるもの | 満たさない |
| 金額 | 5万円を超えるもの | 満たすことが多い |
出典:消費者庁「特定商取引法ガイド 特定継続的役務提供」。期間と金額の両方を満たす必要があります。自分の契約が該当するかどうかは、消費生活センターに確認してください。
1回で終わる手術は、期間の条件を満たしません。 その日に契約して、その日に受けてしまうと、法律による無条件の解約は使えません。
ただし「クーリング・オフが使えない=何もできない」ではありません。 説明が事実と違った、不安をあおられた、といった事情があるときは、消費者契約法などの別の筋があります。 判断するのは相談員と弁護士です。自分で諦める前に188へ電話してください。
まだ行っていない人が、その日にやること
ここから先は、これから受けるかどうかを考えている人に向けた話です。
カウンセリングの席で、これだけはやる
- 「総額はいくらですか」を最初に聞く。手術費ではなく、支払う総額
- 書面でもらう。口頭の金額は、あとで証明できない
- 術式を変えると言われたら、変更後の総額を書いてもらう
- アフターケアが含まれるか、何回まで無料かを金額と一緒に聞く
- 医療ローンを勧められたら、元金と金利を合わせた総支払額を書いてもらう
- その日は契約しない。これだけは先に決めておく
最後の1つが、いちばん効きます。国民生活センターが「即日施術を強要することなどの行為は慎まれるべき」と書いている以上、その日に帰ることを断られる筋合いはありません。
そして、ここまで読んで「もう怖いからやめよう」となる必要もありません。高額になった事例に共通していたのは、手術そのものではなく比べる相手が1つも無いまま、その場で決めたことです。総額を先に出してくれるところで1件だけ聞いて帰る。それだけで、上の表の条件は4つ外れます。
1件目は「基準をつくるため」に行く。受けるかは後で決める
高額になった事例に共通するのは、比べる相手が1つも無いまま、その場で決めたことでした。だから最初の1件は、受けるためではなく総額を1つ手に入れるために行きます。ABCクリニックは料金を事前に提示し、カウンセリングは無料。相談だけで帰れます。全国に院があり、オンラインで予約できます。
- カウンセリングは無料。相談だけでも受けられます
- 料金は事前に提示されます。当日の追加費用の有無は必ず確認してください
- 全国に院があり、オンラインでの予約に対応しています
このページの数字と条文を確かめた先: 国民生活センター「包茎手術、薄毛治療など、男性の美容医療トラブルに注意!」(令和元年11月21日 報道発表資料) /同「美容医療サービスにみる包茎手術の問題点」(2016年6月23日) /厚生労働省「医療広告ガイドライン」令和8年3月30日最終改正 /医療機関ネットパトロール(厚生労働省委託事業) /消費者庁「特定商取引法ガイド 特定継続的役務提供」 /日本美容医療協会「オンライン公開相談室」 (いずれも2026年9月20日確認)。 本サイトは診断・治療については扱いません。症状がある場合は医療機関を受診してください。
包茎治療の費用ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。