本ページはアフィリエイト広告を利用しています。掲載する制度の記載は、各保険者および各市区町村の公表内容にもとづきます。

「病院までの交通費」ではなく、緊急の移送

移送費は名前から誤解されやすい制度です。通院の交通費は出ません。目黒区は「通院のための交通費は該当しません」、横浜市は「通院に使用した場合は対象になりません。」と、どちらもはっきり書いています。対象になるのは、移動が著しく困難な状態で、医師の指示により緊急に移送されたときです。

このページの内容
  1. 支給される要件
  2. 対象にならないもの
  3. いくら出るのか
  4. 必要な書類
  5. 流れ
  6. 通院の足はどうするか
  7. 自分の場合はどうなるか
  8. よくある取りこぼし
  9. 確認に使った一次情報
  10. よくある疑問

支給される要件

目黒区の記載はこうです。

疾病や負傷により移動することが著しく困難な場合に、医師の指示により保険診療を受けるため病院や診療所に緊急に移送されたとき、申請により区が認めたもの

出典:目黒区「国民健康保険 移送費」

横浜市は、対象になる場面を3つ挙げています。

横浜市が挙げている場面

そのうえで「国保が審査を行い必要であると認められた場合」としています。要件に当てはまれば自動的に出るのではなく、審査があります。

対象にならないもの

移送費の対象・対象外

扱い出典
医師の指示による緊急転院対象になり得る横浜市
災害現場からの緊急移送対象になり得る横浜市
離島での重篤な傷病対象になり得る横浜市
通院のための交通費対象外目黒区
通院に使用した場合対象外横浜市
本人や家族の希望による転院医師の指示が前提—

出典:目黒区・横浜市の公表内容(2026年9月10日確認)。取り扱いは保険者ごとに異なります。

いくら出るのか

金額は条文で決まっています。定率でも定額でもありません。健康保険法施行規則第80条はこう定めています。

法第九十七条第一項の厚生労働省令で定めるところにより算定した金額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定した金額とする。ただし、現に移送に要した費用の金額を超えることができない。

出典:健康保険法施行規則第80条(e-Gov法令検索で2026年9月18日に確認)。根拠は健康保険法第97条第1項「移送費として、厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支給する」。

読み替えると、こうなります

条文の言葉意味実際どうなるか
最も経済的な通常の経路及び方法いちばん安く済む行き方が基準救急車以外を選んだ結果その方法が高くついても、基準額までしか出ません
現に移送に要した費用を超えることができない実際に払った額が上限基準額のほうが高くても、払った額までです。もうけは出ません
(第97条第2項)保険者が必要であると認める場合に限り保険者の判断が要る医師の意見書が要ります。本人が必要だと思っただけでは出ません

つまり「基準額」と「実費」の、低いほうです。1〜3割の自己負担ではなく、この考え方で額が決まります。

考え方の例(金額は説明のための仮の数字です)

状況実際に払った額基準額(最も経済的な通常の経路及び方法)支給される額
民間救急で搬送。公共交通機関では移動できない状態だった30,000円その状態で必要だった方法として 30,000円30,000円
歩ける状態だが、待ちたくないのでタクシーを使った5,000円電車とバスで行ける 800円800円(差額は自己負担)
寝台車で搬送したが、実費のほうが基準より安かった18,000円20,000円18,000円(実費が上限)

基準額と実費の、低いほうです。そして第97条第2項の「保険者が必要であると認める場合に限り」があるため、医師の意見書が要ります。本人が必要だと思っただけでは出ません。

だから領収書と、区間・距離の分かるものを必ず取ってください。「実際に要した費用」を示せないと、上限の側が確定しません。タクシーなら領収書に乗車地と降車地を書いてもらう、民間救急なら明細をもらう。先に払って、あとから請求する仕組みです。

必要な書類

必要書類(目黒区・横浜市の記載から)

目黒区横浜市
医師の書面「移送を必要とした医師の意見書」「移送を必要とする医師の意見書」
領収書要る「移送にかかった費用の領収書(移送区間・距離のわかるもの)」
本人確認書類—要る
口座—銀行の預金通帳または口座番号の控え
印鑑—世帯主以外の口座への振込の場合

出典:目黒区・横浜市の公表内容(2026年9月10日確認)。横浜市は領収書に「移送区間・距離のわかるもの」という条件を付けています。

領収書に区間と距離の記載が要る点は見落とされます。金額だけの領収書だと、出し直しになります。移送を頼んだ事業者に、その場で書いてもらってください。

流れ

目黒区・横浜市の記載から整理した流れ

  1. 移送の前後に、医師に意見書を依頼する「医師の指示により」が要件です。
  2. 領収書に移送区間・距離を記載してもらう金額だけでは足りないことがあります。
  3. 加入している保険者に申請する国民健康保険なら市区町村です。
  4. 審査を待つ横浜市は「国保が審査を行い必要であると認められた場合」としています。
  5. 2年以内に手続きを終える目黒区は「移送を受けた日の翌日から2年間」としています。

通院の足はどうするか

移送費では通院の足は解決しません。市区町村が福祉タクシー券やリフト付き車両の助成を行っていることがあります。これは保険ではなく、市区町村の福祉の制度です。対象の要件(障害者手帳や要介護度など)は市区町村ごとに異なります。

福祉タクシー利用券・移動支援事業・駐車禁止除外指定車標章といった移動にかかわる制度は、移動の支援ガイドで横断して整理しています。

また、付き添いが必要な通院は、介護保険の枠に入らないことがあります。

通院の付き添いが必要なとき

通院の付き添いや院内での待機は、介護保険では頼めない範囲に入ることがあります。保険外の訪問サービスは、必要な回数だけ依頼できます。

掲載内容は各社公式サイトの公表値です。面談・相談は無料。広告(PR)を含みます。

自分の場合はどうなるか

医師の指示で別の病院へ緊急転院した

対象になり得ます。意見書と、区間のわかる領収書を用意してください。

家族の希望で転院した

医師の指示が要件です。まず保険者に相談してください。

通院にタクシーを使っている

移送費では出ません。市区町村の福祉タクシー券などをご確認ください。

救急車で運ばれた

消防の救急搬送は無料です。移送費の申請は不要です。

領収書に金額しか書いていない

横浜市は区間・距離のわかるものを求めています。事業者に再発行を相談してください。

1年半前の移送だった

まだ間に合います。時効は2年です。→ 2年という時効

よくある取りこぼし

通院の交通費を申請した

目黒区・横浜市とも対象外としています。

医師の意見書をもらっていない

どちらの区も必要書類に挙げています。

領収書に区間・距離が無い

横浜市は「移送区間・距離のわかるもの」としています。

実費が全部出ると思っていた

「最も経済的な通常の経路および方法」が基準です。

審査があることを知らなかった

要件に当てはまれば自動的に出るものではありません。

→ 全額払ったときの地図/海外療養費/移送費/治療用装具/補聴器は療養費ではない/書類の横断整理/2年という時効

確認に使った一次情報

よくある疑問

通院のタクシー代は出ますか。

出ません。目黒区は「通院のための交通費は該当しません」、横浜市は「通院に使用した場合は対象になりません。」としています。

いくら戻りますか。

「最も経済的な通常の経路および方法により、移送された費用を基準に算定された額(その額が実費を超えた場合は実費)」です(横浜市)。

いつまでに申請しますか。

2年です。目黒区は「移送を受けた日の翌日から2年間」、横浜市は「費用を払ってから2年を過ぎますと時効になり、申請ができなくなります」としています。

医師の意見書は必ず必要ですか。

目黒区・横浜市とも必要書類に挙げています。「医師の指示により」が要件になっているためです。

救急車で運ばれた場合も申請しますか。

消防の救急搬送に費用はかからないため、移送費の申請は必要ありません。

療養費の申請ガイドの記事一覧

このページが扱う範囲
本ページは公的医療保険の給付および市区町村の助成についての一般的な整理です。取り扱い・必要書類・支給額は、加入している保険者(市区町村・健康保険組合・協会けんぽなど)や市区町村ごとに異なります。また病気やけがの治療については扱いません。実際の手続きは、加入している保険者またはお住まいの市区町村にご確認ください。

一次情報の確認先

このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。

次に見ておくガイド