いったん全額払った日には、受け皿が用意されている

公的医療保険は、窓口で保険証(資格確認)を出して3割だけ払う形が基本です。ところが、それができない場面があります。資格確認ができなかった、医師の指示で装具を作った、海外で受診した、緊急に転院した。こうした場面のために「療養費」という受け皿があります。いったん全額を払って、あとから保険の分を戻す仕組みです。ただし、この受け皿に入らないものもあります。

このページの内容
  1. 療養費になる場面
  2. 受け皿に入らないもの
  3. 共通しているのは3つ
  4. どこに出すのか
  5. 状況ごとの入口
  6. よくある取りこぼし
  7. 確認に使った一次情報
  8. よくある疑問

療養費になる場面

練馬区は、国民健康保険の療養費の対象になる場面を挙げています。

練馬区が挙げている場面

これに海外療養費と移送費が加わります。いずれも「いったん自分が全額を払った」という点が共通しています。

受け皿に入らないもの

ここを取り違えると、出すところが無いまま時間だけが過ぎます。

療養費で戻るもの・戻らないもの

扱いどこを見るか
治療用装具(コルセットなど)療養費加入している保険者
海外での受診療養費(海外療養費)加入している保険者
緊急の移送療養費(移送費)加入している保険者
通院のためのタクシー代対象外自治体の福祉タクシーなど別制度
高齢者の補聴器保険の対象外市区町村の助成(購入前に申請)
治療目的で渡航した場合の海外受診対象外—

出典:協会けんぽ・目黒区・横浜市・さいたま市・練馬区の公表内容(2026年9月10日確認)。取り扱いは保険者・市区町村ごとに異なります。

目黒区は移送費について「通院のための交通費は該当しません」、横浜市は「通院に使用した場合は対象になりません。」と書いています。通院の足の問題は、療養費では解決しません。→ 移送費

共通しているのは3つ

制度ごとに書類も金額も違いますが、共通している点が3つあります。

どの療養費にも共通すること

→ 書類の横断整理/2年という時効

どこに出すのか

市区町村の窓口とは限りません。加入している健康保険によって出す先が変わります。

出す先

加入している保険出す先
国民健康保険お住まいの市区町村
協会けんぽ協会けんぽの都道府県支部
健康保険組合その組合
後期高齢者医療お住まいの市区町村(広域連合)
市区町村の補聴器助成お住まいの市区町村(高齢福祉の担当)

会社員の方が市区町村の窓口に行っても受け付けられません。保険証(資格確認書)に書かれた保険者を先に確認してください。

状況ごとの入口

旅行先の海外で受診した

海外療養費です。現地で書いてもらう書類があります。帰国してからでは間に合いません。→ 海外療養費

医師の指示でコルセットを作った

治療用装具の療養費です。→ 治療用装具

救急車ではなく民間の車で緊急に転院した

移送費になることがあります。→ 移送費

通院のタクシー代が重い

移送費では出ません。市区町村の福祉タクシー券などが別にあります。

親の耳が聞こえにくくなってきた

補聴器は保険の対象外です。市区町村の助成があり、購入前の申請が条件です。→ 補聴器は療養費ではない

何年か前の領収書が出てきた

時効は2年です。→ 2年という時効

よくある取りこぼし

市区町村に出そうとした(会社員)

出す先は加入している保険者です。

通院のタクシー代を移送費だと思った

目黒区・横浜市とも対象外としています。

補聴器を先に買ってしまった

市区町村の助成は購入前の申請が条件です。→ 補聴器は療養費ではない

医師の書面をもらっていない

どの療養費でも医師の書面が要ります。

2年が過ぎていた

時効です。

→ 全額払ったときの地図/海外療養費/移送費/治療用装具/補聴器は療養費ではない/書類の横断整理/2年という時効

確認に使った一次情報

よくある疑問

療養費とは何ですか。

いったん全額を自分で払ったときに、あとから保険の分を戻す仕組みです。練馬区は資格確認ができなかったとき、治療用装具を作ったとき、マッサージ・はり・きゅうを医師が必要と認めたときなどを挙げています。

いつまでに申請しますか。

2年です。練馬区は「医療費を支払った日の翌日から2年間」、協会けんぽは「海外で治療費の支払いをした翌日から2年」としています。

どこに申請しますか。

加入している保険者です。国民健康保険なら市区町村、協会けんぽなら都道府県支部、健康保険組合ならその組合です。

補聴器は療養費で戻りますか。

戻りません。補聴器は公的医療保険の対象外です。市区町村が独自に購入費の助成を行っていることがあり、多くは購入前の申請が条件です。

通院のタクシー代は移送費になりますか。

なりません。目黒区は「通院のための交通費は該当しません」、横浜市は「通院に使用した場合は対象になりません。」としています。
このあと必要になること
療養費の請求は退院してからでも間に合いますが、退院後の生活の段取りは入院中に決めないと間に合いません。
→ 続きはこちら

療養費の申請ガイドの記事一覧

このページが扱う範囲
本ページは公的医療保険の給付および市区町村の助成についての一般的な整理です。取り扱い・必要書類・支給額は、加入している保険者(市区町村・健康保険組合・協会けんぽなど)や市区町村ごとに異なります。また病気やけがの治療については扱いません。実際の手続きは、加入している保険者またはお住まいの市区町村にご確認ください。

一次情報の確認先

このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。

次に見ておくガイド