払えない事情は、
黙っていると伝わりません
介護保険料を滞納すると、窓口でいったん全額を払う形に変わります。1割で済んでいたものが10割です。ただし条文には、そうしない場合が書かれています。黙っていると、その例外は適用されません。
支払方法変更とは何か
「市町村は、保険料を滞納している第一号被保険者である要介護被保険者等が…当該保険料を納付しない場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認める場合を除き、…当該被保険者証に支払方法変更の記載をするものとする」
介護保険法 第66条第1項(e-Gov法令検索で2026年9月25日に確認)
被保険者証に「支払方法変更」と記載されます。そうなると、サービスを受けたときに事業者へいったん全額を払い、あとで市町村に請求して払い戻しを受ける形になります。金額の負担割合が変わるわけではありませんが、手元から先に出ていく額が一時的に10倍になります。
実際に起きるのは「サービスを止める」ことです。月に3万円だった支払いが、いったん30万円になるからです。
条文にある例外
条文をもう一度読んでください。「当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認める場合を除き」と書かれています。
つまり、特別の事情があると市町村が認めれば、支払方法変更の記載はされません。これは市町村の裁量ではなく、条文が置いている除外です。
窓口に伝える価値がある事情
- 災害にあった
- 世帯の主な収入を得ていた人が亡くなった・重い病気やけがをした
- 事業の休廃止・失業で収入が著しく減った
- 干ばつ・冷害などで農作物等に損害を受けた
何が「特別の事情」に当たるかは政令で定められています。ここで当否を断定はしません。ただし、窓口に言わなければ検討すらされません。心当たりがあるなら、滞納の相談として伝えてください。
あわせて、保険料そのものの減免・徴収猶予の制度がある市町村が多数です。滞納してから相談するのではなく、払えないと分かった時点で相談してください。
記載は消せる
「市町村は、…支払方法変更の記載を受けた要介護被保険者等が滞納している保険料を完納したとき、又は当該要介護被保険者等に係る滞納額の著しい減少、災害その他の政令で定める特別の事情があると認めるときは、当該支払方法変更の記載を消除するものとする」
介護保険法 第66条第3項
「完納したとき」だけではありません。「滞納額の著しい減少」「災害その他の政令で定める特別の事情」があると認められたときも、記載を消除するものとすると書かれています。
これは重要です。全額払えなくても、著しく減らせば消える可能性があります。「全部払わないと元に戻らない」と思って動けなくなっている人は、ここを窓口に確認してください。
いま動くこと
順番
- ① 滞納している額と期間を確認する市区町村の介護保険料の担当課(保険料の係)に電話して、いくら・いつからかを正確に出してもらいます。
- ② 払えない事情を伝える収入が減った理由と時期を、具体的に。「特別の事情」として検討されるかどうかは、伝えないと始まりません。
- ③ 減免・徴収猶予・分割納付があるか聞く3つとも名前を出して聞いてください。制度名を言うと、担当者が該当の有無を答えられます。
- ④ 納付の計画を紙で決める口約束にしないでください。いつ・いくらを書いた形で決めると、次の督促で話が振り出しに戻りません。
- ⑤ 処分に納得できなければ審査請求保険料に関する処分も不服申立ての対象です。→ 審査請求の使い方
よくある疑問
親の保険料を子が払わないといけませんか。
支払方法変更になっても、サービスは使えますか。
払い戻しはいつ来ますか。
時効で消えませんか。
確認に使った一次情報
- 介護保険法 第3条(保険者)/第27条(要介護認定)/第28条(有効期間・更新)/第43条(支給限度額)/第49条の2(一定以上の所得)/第51条の3(特定入所者介護サービス費)/第66条(保険料滞納者に係る支払方法の変更)/第183条(審査請求)/第200条(時効)e-Gov法令検索
2026年9月25日に e-Gov法令検索で確認した条文です。条文で全国共通なのは、手続きの骨と期限までです。金額・様式・窓口の運用は市区町村ごとに違います。
介護保険で頼めないことの記事一覧
- 介護保険で頼めない24選
- 通院の付き添いを頼む
- 遠距離介護の負担を減らす
- 退院直後の在宅介護
- 訪問理美容
- 高齢者の配食サービスは安否確認とセット
- 緊急通報システム
- 介護保険の訪問介護を使い切ってからの家事援助
- 住宅改修は介護保険の外にも給付
- 社会福祉法人の負担軽減
- ケアプランは自分で作れる
- 養護老人ホームの措置入所
- 要介護の区分変更申請
- 特別障害者手当
- おむつと日常生活用具
- 障害者控除対象者認定書
- 高額介護サービス費
- 受領委任払い
- 家族介護慰労金
- 障害福祉の負担上限月額
- 高額医療・高額介護合算療養費
- 重度障害者医療費助成
- 自動車税の減免
- 住宅改修が必要な理由書
- 住宅改修の事前申請
- 住宅改修20万円の枠
- 借家の住宅改修と承諾書
- 福祉用具の貸与と販売の選択制
- 見積もりと業者の選び方
- 申請の期限(2年)
- 福祉用具購入費の受領委任払い
- 高額療養費の受領委任払い
- 介護保険の住所地特例
- 介護保険の適用除外施設
- 認定調査で見られること
- 主治医意見書は誰が取るか
- 認定までの30日と暫定プラン
- 有効期間と更新
- 納得できないときの2つの道
- 限度額を超えたとき
- 種類ごとの上限
- 施設の食費・居住費を下げる
- 負担割合証の見方
- 保険者と引っ越し
- 2年で消える権利
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。