65歳の誕生日の前日までに申請しないと、そのあとは入れない
重い障害がある方の医療費を助成する制度があります。名前は自治体によって「マル障」「重度障がい者医療費助成」などと違い、対象になる人も、窓口で払う額も、都道府県ごとに別の制度です。そして東京都には「65歳に達する日の前日までに申請しなかった方」は対象にならないという一文があります。ここを整理します。
どんな制度か
重度の障害がある方について、医療保険を使ったあとに残る自己負担を、都道府県と市区町村が助成する制度です。東京都では心身障害者医療費助成制度(マル障)、大阪府では重度障がい者医療費助成制度と呼ばれます。
ここで押さえておくべきなのは、これは国の制度ではないという点です。都道府県が枠を作り、市区町村が実施します。だから対象になる人も、窓口で払う額も、住んでいる場所で変わります。「隣の県ではこうだった」は通用しません。
65歳という区切り
この制度でいちばん取り返しがつかないのがここです。東京都福祉局は、対象とならない方として次を挙げています。
東京都で対象とならない方(東京都福祉局の公表内容)
- 所得制限基準額を超える方
- 生活保護や中国残留邦人等支援給付を受けている方
- 65歳以上になってはじめて対象者に該当することになった方
- 65歳に達する日の前日までにマル障の申請を行わなかった方
- 後期高齢者医療の被保険者で、かつ住民税が課税されている方
2つ目と3つ目が要点です。65歳より前に該当していても、その日までに申請していなければ、あとから入ることはできません。手帳を持っていて条件を満たしているのに、制度を知らないまま65歳を迎えた——これで終わりになります。
いま64歳以下で、身体障害者手帳1級・2級、愛の手帳1度・2度、精神障害者保健福祉手帳1級のいずれかをお持ちなら、いま申請してください。「まだ医療費がかからないから」は理由になりません。入口が閉じる期限がある制度だからです。
対象になる手帳の等級
手帳を持っていれば誰でも対象、ではありません。等級が決まっています。
対象になる手帳の等級(東京都の公表内容)
| 手帳 | 対象になる等級 |
|---|---|
| 身体障害者手帳 | 1級・2級(心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫・肝臓機能障害の内部障害については3級も含む) |
| 愛の手帳(療育手帳) | 1度・2度 |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 1級のみ |
精神障害者保健福祉手帳は1級だけです。2級・3級は対象になりません。ここは問い合わせが多い部分です。
身体障害者手帳の内部障害だけは3級も対象という例外があります。心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・免疫・肝臓の機能障害です。3級だから対象外と自己判断せず、窓口で確認してください。
訪問看護や調剤は対象か
助成の対象になるのは「医療保険を使ったあとに残る自己負担」です。ここで見落とされやすいのが、病院の窓口以外で払っているお金です。
窓口以外で払うものの扱い(お住まいの制度で必ず確認してください)
| 何を払っているか | 考え方 |
|---|---|
| 訪問看護の利用料 | 医療保険の訪問看護療養費として給付されている部分の自己負担は、助成の対象に含まれるのが一般的です。介護保険の訪問看護は別の扱いになります |
| 調剤薬局の窓口負担 | 医療保険の給付にかかる自己負担なので、同じ扱いになるのが一般的です |
| 訪問リハビリ・訪問診療 | 医療保険で受けているか、介護保険で受けているかで分かれます |
| 入院時の食事療養費・差額ベッド代・おむつ代 | 医療保険の給付の対象外なので、助成の対象にもなりません |
同じ「訪問看護」でも、医療保険で受けているか介護保険で受けているかで扱いが変わります。どちらで受けているかは、担当のケアマネジャーか訪問看護ステーションに聞けば分かります。受給者証を使えるかどうかは、必ずお住まいの都道府県・市区町村の窓口で確認してください。
都道府県で中身が違う
同じ「重度障害者の医療費助成」でも、対象の作り方が違います。東京都と大阪府を並べます。
東京都と大阪府の比較(それぞれの公表内容より)
| 項目 | 東京都(マル障) | 大阪府(重度障がい者医療費助成) |
|---|---|---|
| 身体障害者手帳 | 1級・2級(内部障害は3級も) | 1級・2級 |
| 知的障害 | 愛の手帳1度・2度 | 重度の知的障がい/中度の知的障がいで身体障害者手帳をお持ちの方 |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 1級 | 1級 |
| 難病 | 記載なし(手帳が基準) | 特定医療費(指定難病)受給者証等をお持ちで、かつ障がい年金1級または特別児童扶養手当1級に相当する方 |
| 所得制限 | 扶養0人で3,758,000円(令和8年9月1日〜令和9年8月31日、令和7年中所得)/扶養1人につき38万円加算 | 本人所得479万4千円(単身の場合) |
大阪府は難病の方が対象に入ります。東京都は手帳が基準です。同じ状態の人が、住む場所によって対象になったりならなかったりします。大阪府の案内には「お住まいの市町村により異なる場合があります」という注記もあります。
窓口でいくら払うか
窓口で払うのか、払わないのかも別です。
自己負担のしくみ
| 東京都(マル障) | 大阪府 | |
|---|---|---|
| 基本の考え方 | 住民税課税者は「マル障一部負担金」と入院時食事療養・生活療養標準負担額を支払う/住民税非課税者は入院時食事療養・生活療養標準負担額のみ | 1つの医療機関等あたり1日につき最大500円 |
| 月の上限 | ― | 1か月の月額上限額は3,000円 |
| 入院と通院 | ― | 入院と通院それぞれ別々に1日最大500円 |
| 院外薬局 | ― | 1つの薬局あたり1日最大500円。1日に2枚以上の処方箋を持ち込んでも合わせて最大500円 |
大阪府は「1日いくら・月いくらまで」という上限方式です。東京都は課税・非課税で扱いが分かれます。金額の出方がそもそも違うので、他県の記事の金額をあてはめないでください。
自分の場合はどうなるか
いま63歳で、身体障害者手帳2級を持っている
66歳で手帳を取得した
精神障害者保健福祉手帳の2級を持っている
指定難病の受給者証を持っている
身体障害者手帳3級だが、心臓の機能障害
所得が制限を超えそう
払う額が1割になっても、手が増えるわけではありません
医療費が助成されても、通院の付き添いや家事は保険の外にあります。必要な時間だけ外に出すという選択肢もあります。
- 相談・見積もりは無料です
- 介護保険では対応できない内容にも対応しています
- 24時間365日の相談体制があります
助成されない費用
医療機関の窓口で払うものが全部戻るわけではありません。
助成の対象にならないもの
| 区分 | 扱い |
|---|---|
| 健康診断・予防接種 | 対象外(東京都) |
| 薬の容器代・薬のビン代 | 対象外(東京都・大阪府) |
| 差額ベッド代 | 対象外(東京都・大阪府) |
| 診断書料 | 対象外(大阪府) |
| 学校管理下の傷病で災害共済給付の対象となる場合 | 対象外(東京都) |
| 健康保険組合等から支給される高額療養費・付加給付に該当する医療費 | 対象外(東京都) |
| 他の公費医療で助成される医療費 | 対象外(東京都) |
いずれも「医療保険の給付の外にあるもの」か「他の制度で先に埋まるもの」です。自立支援医療など他の公費が使えるなら、そちらが先になります。
確認の順序
この順に確認する
- 自分の年齢を確認する64歳以下なら、期限があります。65歳に達する日の前日までに申請できるかどうかが最優先の論点です。
- 手帳の種類と等級を確認する身体1・2級(内部障害は3級も)、愛の手帳1・2度、精神1級。都道府県により難病が入ることもあります。
- 住んでいる都道府県の制度名を調べる「マル障」「重度障がい者医療費助成」など名称が違います。市区町村の障害福祉の窓口が入口です。
- 所得制限を確認する本人の所得で見るのか、扶養人数で基準が変わるのか、都道府県により違います。
- 他の公費医療との関係を確認する自立支援医療など、他の制度が先に適用されることがあります。窓口で順序を聞いてください。
- 申請する住民票のある区市役所・町村役場の窓口です。手帳と保険証、印鑑、マイナンバーが確認できるものを持参してください(必要書類は自治体により異なります)。
よくある取りこぼし
65歳になってから知る
東京都は「65歳に達する日の前日までに申請を行わなかった方」を対象外としています。制度を知らなかったことは理由になりません。
医療費がかかっていないから申請しない
入口に期限がある制度です。使う予定がなくても、対象なら先に申請しておく意味があります。
精神2級でも対象だと思う
精神障害者保健福祉手帳は1級のみが対象です。
身体3級だから対象外だと決めつける
内部障害に限り3級も対象とされています(東京都)。窓口で確認してください。
他県の金額をあてはめる
大阪府は1日最大500円・月額上限3,000円という方式、東京都は課税・非課税で扱いが分かれます。制度の形そのものが違います。
差額ベッド代や診断書料も戻ると思う
医療保険の給付の外にあるものは対象外です。
所得制限を一度超えたら諦める
毎年判定されます。扶養親族が増えれば基準額も上がります(東京都は1人につき38万円加算)。
よくある疑問
65歳を過ぎてからでも申請できますか。
どの手帳が対象ですか。
精神障害者保健福祉手帳2級は対象ですか。
難病でも対象になりますか。
窓口でいくら払いますか。
入院と通院は合算されますか。
薬局でも払いますか。
所得制限はいくらですか。
生活保護を受けています。
後期高齢者医療に入っています。
差額ベッド代は助成されますか。
どこに申請しますか。
→ 保険で頼めない4分類/手帳がなくても使える所得控除/障害福祉サービスの負担上限と「世帯」の範囲/医療と介護を1年分合算する制度/介護保険側の月額上限
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- 2年で消える権利
本ページは制度の一般的な整理です。対象・金額・品目は市区町村ごとに異なり、年度ごとに改定されます。実際の申請にあたっては、お住まいの市区町村の窓口(障害福祉担当・高齢福祉担当)、または担当のケアマネジャー・相談支援専門員にご確認ください。税の取り扱いは税務署にご確認ください。
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。