期限は領収日の翌日から2年。
工事が終わった日ではありません

工事は終わったのに、事後の申請を出さないまま時間が経ってしまう。住宅改修費には期限があり、過ぎると出ません。期限は介護保険法に書かれた2年です。ただ「いつから数えて2年か」を勘違いすると、半年ほどずれます。条文と自治体の記載で確かめます。

このページの内容
  1. 条文はどう書いているか
  2. 起算日は「払った日の翌日」
  3. なぜ工事完了日ではないのか
  4. 2つの支払方法で違うか
  5. 日付の数え方の例
  6. 過ぎてしまった場合
  7. 振込はいつになるか
  8. 期限以外で出なくなる条件
  9. 確認の順序
  10. 確認に使った一次情報
  11. よくある疑問

条文はどう書いているか

介護保険法 第200条を、原文のまま引きます。

保険料、納付金その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によって消滅する。

住宅改修費は保険給付です。だから「行使することができる時」から2年で消えます。条文は日付を特定していません。そこを埋めているのが、市区町村の説明です。

起算日は「払った日の翌日」

2つの自治体の記載を並べます。

住宅改修費支給申請(事後申請)の消滅時効は、被保険者が施工業者に代金を完済した日(領収日)の翌日から起算して2年となりますのでご注意ください。(江東区)

住宅改修費の支給申請にかかる時効は2年間です(起算日は支払った日の翌日)。(泉佐野市)

2つの市区で書き方が一致しています。基準は支払いです。

どの日が起算日になるか

候補になりそうな日起算日か
事前申請を出した日✗
承認通知が届いた日✗
工事が始まった日✗
工事が完了した日✗
業者に代金を完済した日(領収日)の翌日◎

出典:江東区・泉佐野市の記載。書き方は市区町村によって異なることがあります。お住まいの市区町村の記載を確認してください。

なぜ工事完了日ではないのか

条文が「行使することができる時」と書いているからです。住宅改修費はかかった費用に対して支給されるお金なので、費用が確定して初めて請求できます。工事が終わっただけでは、まだ金額が確定していないことがあります。

裏を返すと、支払いを分割にしたり、最後の1回が遅れたりすると、起算日も後ろにずれます。「完済した日」と書かれているのはそのためです。

2つの支払方法で違うか

償還払いと受領委任払いで、期限の考え方は変わるか

工事のときに払う額起算日の考え方
償還払い全額完済した日の翌日
受領委任払い自己負担分(1〜3割)自己負担分を完済した日の翌日と扱う市区町村がある

受領委任払いでの扱いは市区町村で分かれます。江東区・泉佐野市の記載は事後申請の消滅時効について書かれたもので、支払方法ごとの区別を明示していません。受領委任払いでも、2年の起算日が「自己負担分を完済した日の翌日」になる点は同じ考え方です。ただし受領委任払いは業者が申請にかかわる形なので、止まっているのが自分か業者かを先に切り分けてください。

ただし受領委任払いは、業者が申請にかかわる形です。業者が事後の書類を出さないまま止まっているケースが起こりえます。工事から数か月経っても振込や通知がないなら、業者ではなく市区町村に聞いてください。

日付の数え方の例

実際の日付で並べます。これは数え方を示す例であって、個別の判断ではありません。

同じ工事でも、支払いの日で期限が変わる

支払いの形完済した日起算日期限
工事完了時に一括で払った4月10日4月11日翌々年の4月10日
半額を前払い、残りを完了後に払った5月20日5月21日翌々年の5月20日
請求書が遅れて届き、翌月に払った6月30日7月1日翌々年の6月30日

工事が終わった日はどれも同じでも、完済の日で期限が変わります。領収書の日付を必ず控えてください。

過ぎてしまった場合

時効が完成すると、市区町村の側に支給する権限がなくなります。窓口の判断で延ばせるものではありません。「事情を説明すれば」という性質のものではない、という点が事前申請の忘れ(→ 工事のあとに気づいたとき)とは違います。

ただしまだ2年以内なら、工事が何年前でも申請できます。「もう古い工事だから」と諦める前に、領収書の日付を見てください。

過ぎたかどうかを確かめる手順

振込はいつになるか

期限内に出しても、お金がすぐ入るわけではありません。三鷹市はこう書いています。

申請月の翌々月の上旬に指定口座へ振り込みます。

申請してから2か月ほどかかるという前提で資金を考えてください。2年の時効は「申請した日」で止まります。振込が翌年度になっても、期限内に出していれば問題ありません。

期限以外で出なくなる条件

期限を守っても、別の理由で出ないことがあります。江東区が挙げているものを並べます。

江東区の記載から

条件どうなるか
介護保険料の未納がある支給対象とならない場合がある
被保険者証に記載された住所以外での改修対象外
施設入所中の方に対する、施設での改修対象外
入院中・入所中の申請原則としてできない(外泊や一時帰宅も不可)
認定の有効期間外に行われた改修対象外

出典:江東区「介護保険住宅改修費の支給」。これらの取り扱いは市区町村によって異なることがあります。

退院に合わせて工事したい場合について、江東区はこう書いています。

退院・退所することが決まり、やむを得ない事由で退院・退所前に改修を行う必要がある場合のみ、例外的に事前申請を受け付けます。

そして認定を待っている段階についても書かれています。

新規認定申請中や区分変更中でも事前申請はでき、審査後、事前申請確認書が発行された場合は、工事に着手することは可能です。ただし、事後申請は認定結果後でないとできません。

認定結果を待たずに工事を始められる場合があるという記載です。退院の日が決まっていて間に合わない、というときに効きます。ただし事後の申請は認定が出てからです。

期限が過ぎてしまった人へ。終わりではありません。
出なかったのは「その工事の費用」だけで、20万円の支給限度基準額は使われていません。次に工事をするとき、枠はそのまま残っています。
そして手すりは、工事をしなくても用意できます。置くだけの据置型手すりは福祉用具貸与(レンタル)の対象で、こちらは住宅改修とは別の枠です。工事が要らないぶん、申請も早く済みます。
→ 福祉用具は借りるか買うか/20万円の枠はリセットされるか

確認の順序

工事のあと、忘れないための順序

→ 先に出すお金を10分の1にする払い方/工事のあとに気づいたとき/理由書は誰が書くのか/20万円は何回に分けられるか/借りている家で工事するとき/保険で頼めないこと一覧

確認に使った一次情報

よくある疑問

工事は3年前ですが、支払いは去年でした。申請できますか。

起算日は完済した日の翌日です。支払いが去年なら、まだ2年以内の可能性があります。領収書を持って市区町村の窓口に相談してください。ただし事前申請をしていたかどうかが別の条件になります。

領収書をなくしました。

業者に再発行を頼んでください。支払日が分かる資料がないと、期限の起算日も証明できません。振込の記録が残っていれば、それも持って行ってください。

受領委任払いなら自分で申請しなくてよいですか。

書類を業者が用意することはありますが、申請する主体は被保険者本人です。承認通知も本人宛に届きます。通知が来ないまま時間が経っているなら、市区町村に確認してください。

本人が亡くなった場合はどうなりますか。

もらえなくなるわけではありません。鹿児島市は「相続人からの申請のみを受付し、支給しています」と公表しています。喪主というだけでは申請できません。相続人であることが要ります。同市は令和5年2月1日に書類を簡素化し、「相続人と被保険者の関係がわかる戸籍謄本等のみで受付可能」としました(それ以前は上位相続人の有無がわかる複数の戸籍謄本が必要でした)。あわせて「死亡による振込先変更」の誓約書で、申請者が相続代表者として責任を持つことを誓約する形にしています。2年の時効は止まりません。相続の話がまとまるのを待たずに、先に申請してください。

2年を過ぎたら、事情によっては認められますか。

時効は法律に定められたもので、窓口の裁量で延ばせるものではありません。過ぎる前に出すこと以外に方法がないと考えてください。

分割で払っている途中です。いつから数えますか。

江東区は「代金を完済した日(領収日)」と書いています。途中の支払いではなく、最後の支払いが基準です。ただし扱いは市区町村で異なることがあるため、窓口で確認してください。

申請したのに振込がありません。

三鷹市の例では申請月の翌々月上旬です。それを過ぎても入らない場合は、市区町村に申請が受理されているかを確認してください。書類の不備で止まっていることがあります。

介護保険で頼めないことの記事一覧

このページが扱う範囲
本ページは介護保険の住宅改修についての一般的な整理です。申請の様式・期限・受領委任払いの有無は市区町村ごとに異なります。実際の手続きは、担当のケアマネジャーと、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口にご確認ください。

一次情報の確認先

このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。

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