本ページはアフィリエイト広告を利用しています。制度の記載は厚生労働省と市区町村の公表資料で確かめ、確かめた日を各所に書いています。

全額を立て替えずに買える市区町村がある

介護保険で福祉用具を買うとき、原則はいったん全額を払って、あとから9割(負担割合により8割・7割)が戻ってくる「償還払い」です。ところが市区町村によっては、自己負担分だけを払えばよい「受領委任払い」を用意しています。ただし条件があり、市に登録された業者から買うことが前提です。

このページの内容
  1. 償還払いと受領委任払い
  2. 東京13区を1件ずつ見た
  3. 要綱に書いてあること
  4. 登録業者からしか買えない
  5. 業者が登録していないという落とし穴
  6. 使える人の条件
  7. 手続きの流れ
  8. 自分の場合はどうなるか
  9. よくある取りこぼし
  10. 確認の順序
  11. 確認に使った一次情報
  12. よくある疑問

償還払いと受領委任払い

福祉用具購入費の支払い方の違い

償還払い(原則)受領委任払い
窓口で払う額いったん全額自己負担分だけ
残りの支払いあとから本人に払い戻し市から業者へ直接
用意するお金購入額の全部自己負担分だけ
どこでも使えるか使える制度がある市区町村で、登録業者から買う場合だけ

出典:昭島市介護保険福祉用具購入費受領委任払い実施要綱の記載から整理。制度の有無は市区町村ごとに異なります。

差が出るのは「最初に用意するお金」です。用具の種類によっては、いったんの立て替えが重くなります。それが理由で買えない、という事態を避けるための仕組みです。

東京13区を1件ずつ見た。住宅改修と同じではなかった

東京23区の住宅改修の受領委任払いを調べたときは、23区すべてにありました。では福祉用具購入費はどうか。2026年9月20日に13区の公表内容を1件ずつ確認しました。

東京13区の福祉用具購入費 受領委任払い(2026年9月20日確認)

区制度の呼び名公表されている条件
練馬区受領委任払い「区と契約した事業者でなければ利用できません」/「保険料の未納のある方、区分変更中の方は利用できません」
大田区代理受領「大田区へ代理受領登録をした事業者を利用した場合、被保険者は自己負担分である1割、2割または3割分を登録業者へ支払います」
北区代理受領方式福祉用具購入と住宅改修が対象。「特定福祉用具代理受領登録事業所」の一覧を別に公表
杉並区受領委任払い制度「利用者は、購入費用のうち自己負担割合(1割から3割)に応じた金額のみを事業者に支払います」。利用には要件が4つ
葛飾区受領委任払い(協定)「葛飾区と福祉用具事業者が受領委任払いの協定を締結することにより」。「葛飾区として要介護被保険者等に対して協定締結事業者との契約を推奨するものではありません」
板橋区住宅改修費等受領委任払い対象は「居宅介護(介護予防を含む)住宅改修費及び特定福祉用具購入費」=「等」に含まれている。「保険料の滞納により……支払方法変更の記載を受けている方」「入院・入所中、認定申請中(認定区分変更中を含む)、転居前」は利用不可
足立区受領委任払い「足立区に登録している事業者に、自己負担分(福祉用具購入費、または住宅改修費の1割から3割)のみを支払う方法です」
江東区受領委任払い「区に登録した受領委任払い取扱事業者から購入した場合のみ」。取扱登録事業者一覧を公表
中野区受領委任払い対象は「要支援1、要支援2、要介護1〜5の認定を受けている方」かつ「介護保険料の未納・滞納のない方」「入院・入所中、認定申請中(認定区分変更中を含む)でない方」
品川区受領委任払い「購入の際に給付方法(償還払い、または受領委任払い)を選択します」=選べる
新宿区受領委任払い「受領委任払いが適用されるのは、新宿区に登録している事業所のみです」
墨田区受領委任払い申請書に「福祉用具購入費支給申請書(受領委任払い用)」が用意されている
世田谷区確認できず支給申請のページは「一旦全額を支払って購入した後、申請により9割〜7割分が支給されます(償還払い)」のみ。介護保険ガイドブック(令和6〜8年度)にも「受領委任払い」「代理受領」の語が無い

出典:各区の公表ページ・ガイドブック(2026年9月20日に1件ずつ確認)。「確認できず」は「制度が無い」と断定するものではありません。公表されている範囲で見つからなかった、という意味です。窓口で必ず確認してください。

ここから3つ、読む前に知っておくと損をしないことが出てきます。

1つめ。住宅改修にあるからといって、福祉用具にもあるとは限りません。住宅改修は23区すべてにありましたが、福祉用具購入費は世田谷区で見つけられませんでした。同じ「受領委任払い」という言葉でも、対象が別々に決められています。

2つめ。呼び名が3種類あります。「受領委任払い」「代理受領」「代理受領方式」。大田区と北区は「代理受領」です。自分の区のサイトで「受領委任払い」を検索して出てこなくても、「代理受領」で探すと出てくることがあります。

3つめ。板橋区は「住宅改修費等受領委任払い」という名前で、この「等」に福祉用具購入費が入っています。福祉用具のページだけを見ていると、制度があるのに無いと思ってしまいます。

要綱に書いてあること

この制度は、市区町村の要綱で決まっています。昭島市の要綱は、受領委任払いをこう定義しています。

登録業者に委任した場合において、市が当該登録業者に福祉用具購入費を支払うこと

出典:昭島市介護保険福祉用具購入費受領委任払い実施要綱 第2条

つまり、本人が受け取るはずの給付を業者に受け取ってもらう、という構造です。だから「受領を委任する」という名前になっています。住宅改修の受領委任払いと同じ考え方です。→ 受領委任払い

登録業者からしか買えない

ここがいちばん大事なところです。昭島市の要綱は、登録業者を次のように定義しています。

市長と協定を締結し、市に登録された(指定特定福祉用具購入業者)

出典:昭島市介護保険福祉用具購入費受領委任払い実施要綱 第2条

業者の区分

区分意味受領委任払いが使えるか
指定特定福祉用具販売事業者都道府県等の指定を受けた事業者。ここから買わないと保険給付そのものが出ない—
登録業者そのうえで、市と協定を結んで市に登録した事業者使える
指定を受けていない販売店通販・量販店など保険給付の対象外

出典:昭島市の要綱の記載から整理。名称と登録の仕組みは市区町村ごとに異なります。

「介護保険が使える店」と「受領委任払いが使える店」は、同じではありません。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に、市の登録業者かどうかを確認してください。

いちばん多い取りこぼしは、業者が登録していないこと

13区すべてに共通していたのは、「区に登録した事業者から買った場合だけ」という条件です。言い方は区ごとに違いますが、中身は同じでした。

13区が共通して書いていること

区登録についての書き方
練馬区「区と契約した事業者でなければ利用できません」
新宿区「受領委任払いが適用されるのは、新宿区に登録している事業所のみです」
江東区「区に登録した受領委任払い取扱事業者から購入した場合のみ」
足立区「足立区に登録している事業者に、自己負担分……のみを支払う方法です」
北区「特定福祉用具代理受領登録事業所」の一覧を公表
葛飾区「協定の対象は、個人経営又は法人経営の都道府県知事から指定を受けた福祉用具事業者とします」

出典:各区の公表内容(2026年9月20日確認)。都道府県の指定を受けているだけでは足りません。その区への登録が別に要ります。

ここが実務でいちばん詰まります。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員が勧めてくれた業者が、その区に登録していないことがあります。そのときは、いい業者でも受領委任払いは使えません。全額を先に払うことになります。

だから、用具を選ぶ前に順番を1つ入れ替えてください。

先に確認する順番

  1. 区の登録事業者一覧を先に見る「(区名) 福祉用具 受領委任払い 事業者」で検索します。江東区・北区のように一覧を公表している区があります。
  2. 一覧に載っている業者の中から選べるか、ケアマネジャーに聞く「この一覧の中で、うちの用具を扱えるところはありますか」と聞くのが早いです。
  3. 保険料の納付状況を確認しておく練馬区・中野区・板橋区は、保険料の未納・滞納があると使えないと明記しています。心当たりがあれば、先に窓口で確認してください。
  4. 認定の区分変更を申請中なら、時期をずらせるか聞く練馬区・中野区・板橋区は「認定申請中(区分変更中を含む)」を対象外にしています。
  5. 購入する前に申請する買ってからでは受領委任払いに切り替えられません。順番が逆になると償還払いになります。

この2つの表を確認した主な一次情報:練馬区/大田区/北区/杉並区/葛飾区/板橋区/足立区/江東区/中野区/品川区/新宿区/墨田区/世田谷区(いずれも2026年9月20日確認)

使える人の条件

昭島市の要綱は、対象者の要件を2つ挙げています。

昭島市の要綱が挙げている対象者の要件

2つめの書き方に注意してください。「立て替えが難しいこと」が条件になっています。誰でも選べる支払い方法ではなく、必要な人のための仕組みという立て方です。市区町村によっては、所得や課税の状況を条件にしていることがあります。

保険料の滞納については、住宅改修の受領委任払いでも同じ条件が置かれていることが多い項目です。心当たりがあれば、先に納付状況を確認してください。

手続きの流れ

昭島市の要綱に沿った流れ

  1. ケアマネジャー・福祉用具専門相談員に相談するどの用具が必要か、選択制の対象かを整理する。→ 借りるか買うか
  2. 市に受領委任払いの制度があるか確認する無い市区町村もあります。
  3. 登録業者かどうかを確認する市と協定を結んで登録されている業者に限られます。
  4. 用具を購入する自己負担分を業者に支払う。
  5. 申請書を出す「購入した福祉用具を確認できる書面」と「領収書」を添えて提出(昭島市の要綱 第4条)。
  6. 市が審査して支給決定する支給決定時に、市が登録業者へ購入費を支払う(同 第5条)。

申請の手続き自体は本人(または家族)が行います。業者が代行してくれることもありますが、書類の名義は本人です。

自分の場合はどうなるか

市に受領委任払いの制度がなかった

原則どおり償還払いになります。いったん全額を用意する必要があります。購入の時期を調整する、レンタルで対応できる種目かを見直す、といった検討になります。→ 借りるか買うか

買いたい業者が登録業者ではなかった

その業者から買うと受領委任払いは使えません。登録業者の一覧を市の窓口で確認できることがあります。同じ用具を扱う登録業者があるか、福祉用具専門相談員に聞いてください。

保険料の滞納がある

給付制限を受けていると対象外になります。まず納付相談をしてください。分割の相談に応じている市区町村があります。

急いで必要になった

先に買ってしまうと受領委任払いに切り替えられないことがあります。購入の前に市の窓口へ確認してください。

2024年から始まった選択制の対象種目だった

借りるか買うかを選べる種目があります。買う場合の支払い方として受領委任払いを検討することになります。→ 借りるか買うか

よくある取りこぼし

先に買ってから相談した

受領委任払いは購入の前に段取りする仕組みです。買ってしまうと償還払いになることがあります。

介護保険が使える店=登録業者だと思っていた

別です。指定特定福祉用具販売事業者であっても、市と協定を結んでいなければ受領委任払いは使えません。

保険料の納付状況を確認していなかった

滞納による給付制限があると対象外です。

領収書を捨てた

昭島市の要綱は申請に「領収書」を求めています。保管してください。

同じ年度に限度額を使い切っていた

福祉用具購入費には年度あたりの支給限度基準額があります。支払い方法の話とは別に、限度額を超えると全額自己負担です。ケアマネジャーに確認してください。

確認の順序

窓口で聞くこと

  1. 受領委任払いの制度があるか無い市区町村があります。
  2. 登録業者の一覧はあるか市に登録された業者からしか使えません。
  3. 対象者の条件は何か保険料の滞納、立て替えが難しいことなど。
  4. 申請はいつ出すのか購入の前か後か。市区町村で違います。
  5. 必要な書類は何か申請書・用具を確認できる書面・領収書など。
  6. 住宅改修でも同じ制度があるか→ 受領委任払い

用具で埋まらない部分

福祉用具は「できないこと」を道具で補う仕組みです。道具では埋まらない部分は残ります。買い物や掃除、通院の付き添いなど、介護保険の枠に入らない用事がそれにあたります。

用具は届きます。装着する人は来ません

掃除や買い物、通院の付き添いなど、介護保険では頼めない用事を担う保険外のサービスがあります。

掲載内容は各社公式サイトの公表値です。面談・相談は無料。広告(PR)を含みます。

確認に使った一次情報

よくある疑問

受領委任払いはどの市区町村にもありますか。

ありません。市区町村ごとの要綱で定める制度なので、置いていない市区町村があります。お住まいの市区町村の介護保険担当課にご確認ください。

通販で買った福祉用具も対象になりますか。

指定特定福祉用具販売事業者から購入しなければ、そもそも介護保険の給付対象になりません。受領委任払いはさらに、市に登録された業者であることが条件になります。

申請は買う前ですか、買った後ですか。

市区町村によって違います。昭島市の要綱では、申請書に「購入した福祉用具を確認できる書面」と「領収書」を添えるとされており、購入後の申請です。ただし受領委任払いを使うこと自体は購入前に業者と段取りする必要があります。先に市の窓口で確認してください。

保険料を滞納しているとどうなりますか。

給付制限を受けていると対象外です。昭島市の要綱は「介護保険料の滞納により給付制限を受けていないこと」を要件にしています。まず納付相談をしてください。

住宅改修の受領委任払いとは別の手続きですか。

別です。同じ「受領委任払い」という名前でも、要綱が別に定められていることがあります。住宅改修は使えるが福祉用具は使えない、という市区町村もあります。→ 受領委任払い

介護保険で頼めないことの記事一覧

このページが扱う範囲
本ページは支払い方法の制度についての一般的な整理です。制度の有無・名称・対象・手続きは市区町村ごとに異なります。実際の手続きは、お住まいの市区町村の担当課にご確認ください。

一次情報の確認先

このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。

次に見ておくガイド